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令和7年度の成果
令和7年度の成果
| 予算事項名/試験研究課題名 | 実施年度 | 研究分野 | 目 的・概 要 | 主 な 成 果 | |
| 林業試験研究費 | 種子の検定と発芽試験 | S35~ | A | 優良な種苗の供給を確保するため、スギ、ヒノキ、アカマツの発芽試験等を行う。 | ○特定母樹ミニチュア採種園 東温 2024スギ3.3%、2025スギ35.5% 川内 2024スギ13.8%、2025スギ37.3% 内子 2024スギ5.8% ○普通採種園 新居浜 2024ヒノキ0.3%、2024スギ6.5% 内 子 2024アカマツ58% |
| 県産内装材利用技術開発事業 | R6~R8 | B | 大径材の用途を確立し、原木価格の向上を図るため、県産木材の香りの特性を調査するとともに、人への影響を生理面・心理面・作業効率の観点から評価し、外材由来の製品等との差別化を図る。 | 県産材の香りの効果を検証するため、実空間の壁と床に県産内装材を施工し、人への心理・生理面、作業効率への影響を調査した。 揮発成分の放散量が異なるため、心材・辺材に分けて内装材を施工しそれぞれ被験者試験を行ったが、両者の違いは確認できなかった。一方、非木質空間と木質空間においては心理・生理面の一部の結果で違いが見られ、木質空間の方がストレスの蓄積が低い可能性を示唆する結果が得られた。 |
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| 林業普及指導事業費 | クヌギエリートツリーの成長特性評価及び樹種判別技術開発研究 | R7~R11 | A | 県外への移出量が増加しているクヌギと近縁種アベマキについて、樹種判別技術を開発し、移出業者のサポートを図る。また、。花粉症対策としての樹種転換に初期成長が優れたクヌギエリートツリー苗木を導入・普及して再造林コストを低減するため、採種園を造成し成長特性等の基礎情報の調査を行う。 | 令和7年4月に第5世代精英樹候補や在来のクヌギ種子をMスターコンテナおよび林地に播種・育苗を行い、その生育状況調査を行った。また、Mスターコンテナで育苗した苗については、翌年3月に採種園造成地に植栽した。 |
| 林業躍進プロジェクト推進事業費 | ドローンを使用した森林施業地の写真測量手法の調査 | R3〜R7 | A | 森林施業地の現地測量に係る労務負担を軽減するため、写真測量に関する情報を収集し、現地実証、精度検証を行ったうえで、県内林業関係者(森林組合、林業事業体等)に技術の普及を行う。 | ○ドローンを使用した写真測量の精度を確認するため、当センターの裏山に設置した調査区の写真撮影を行い、写真解析から得られたオルソ画像の精度を確認するとともに、その成果を関係機関に紹介した。 |
| 森林計画樹立費 | 森林資源モニタリング調査 | R2~R11 | A | スギ・ヒノキ現実林分収穫表の調整のためスギ・ヒノキ人工林において現地調査を実施する。 | 令和7年3月に発生した今治市・西条市の林野火災被災区域内においてドローンによる写真撮影やオルソ画像の作成を行った。更に、同区域内に調査プロットを設置し、立地環境や天然更新状況等の調査を行った |
| 新たな森林管理システム推進事業費 | 森林のゾーニングを支援するGISの構築に関する調査 | R7~R11 | A | 森林所有者から市町に経営管理委託される森林が増加しており、林業経営に係る適地判定や事業計画の作成等を効率化するため、航空レーザ計測の成果等を利用して森林のゾーニングを支援するGISを構築する。 | 森林の経営管理において大きなリスクとなる林野火災の発生原因及び被害拡大要因を把握するため、文献及びウェブサイトから情報を収集しその要因を確認した。 また、令和7年3月に発生した今治市・西条市の林野火災について、被災区域や被災強度等を調査し、県関係機関に資料を提供した。 |
| エリートツリー活用省力化モデル事業費 | 県オリジナルスギエリートツリー新品種開発研究 | R5~R7 | A | エリートツリーの効率的な種子生産や種苗の安定供給・苗木価格の低減を進めるため、従来種苗の実生から成長や木材強度などが、エリートツリーと同等以上の性能を有する個体を選抜し新たな県オリジナルの「スギ」エリートツリー新品種の開発を行う。 | 愛媛県産育種混合種苗の中からエリートツリー並みの優良個体を選抜するため、植栽後10年を経過した林分において、形質として樹高、胸高直径、雄花の着生量を、木材強度試験として応力波伝播速度の測定を行った。その結果、エリートツリーの樹高や強度に並ぶ個体が確認できた。また、それらのうち、雄花着花が少ない個体について、穂木を採取し、挿し木を行った。 |
| CLT建築物建設促進事業費 | CLT普及促進情報整備事業(CLT建築物環境評価検証事業) | R3~R7 | B | 県内のCLT建築物における室内環境の情報を収集し、CLT利用の優位性を実証することに加え、CLT使用空間における人の生理・心理評価を行い、この結果を販売促進活動に活用することで、CLT建築物の建設促進を図る。 | R7に建て替えを行った本県の久万高原町庁舎を対象に、建て替え前の旧事務所と立て替え後の新事務所において、被験者に対して生理・心理評価の試験を行った。 生理評価では、唾液アミラーゼ活性や脈波から算出される交感神経活動指標において、RC造とCLT造における顕著な差は確認できなかった。一方、心理評価では、新版STAIの特性不安得点において、RC造よりもCLT造において得点が低くストレスが緩和されている傾向が見られた。 |
| 広域連携型農林水産研究開発事業費 | 無花粉スギの開発・生産・増殖効率改善試験 | R3~R7 | A | 無花粉スギ品種からの種子生産量の増大・安定供給をはかるため、種子親となる無花粉スギや花粉親となる無花粉遺伝子を有するスギ精英樹等の着花・開花特性、種子生産性に関する特性を把握し、種子形成時期の気象との関係を明らかにする。また、無花粉遺伝子を有するスギ精英樹と特定母樹等を用いた人工交配を行う。 | 令和7年7月に無花粉遺伝子を持つ愛媛県精英樹及び通常の精英樹6系統、無花粉スギ1系統にジベレリン散布・浸漬処理を行った。 〈着花・開花特性〉10月下旬に雄花の着花指数を調査した。着花指数は、上浮穴16号が他の系統と比べて非常に高い指数を示し、花粉親として非常に有用であった。令和8年2~4月にかけて、雌花・雄花の開花フェノロジーの調査を行った。昨年度に引き続き、系統によって開花時期がずれ、雄花よりも雌花のほうが早く開花する系統があることが確認された。 〈種子生産に関する特性〉令和7年10月に球果から種子を採取し、充実率、100粒重、発芽率の調査を行った。結果は育種センターに送付し、他のデータとともに解析される予定である。 〈人工交配〉令和8年2月に無花粉遺伝子を有するスギ精英樹2系統から花粉を採取し、人工交配を行った。人工交配は、無花粉スギ1系統、無花粉遺伝子を有するスギ県精英樹1系統に対して行った。また、環境データを測定した。令和6年度に人工交配で得られた種子を播種し、発芽苗木89本のジェノタイピングを行い、無花粉スギを選別した。 |
| スギ雄花着花特性検査技術高度化試験 | H29~R7 | A | 幼木へのジベレリン処理による雄花着花量から、成木の自然状態での雄花着花量を推定できる手法を確立し、これにより現在20年以上を要している少花粉スギの育種期間を大幅に短縮する技術を開発する。 また、既存のヒノキミニチュア採種園の環境と種子生産量の関係を調査し、管理マニュアルを作成する。 |
温暖化に対応した、球果の充実時期を検討するため、ヒノキについて、県内の川内ミニチュア採種園を調査地として設定した。使用したクローン数は5で、各クローン1本ずつ計5本を調査木として設定した。調査木から4回時期別に球果を採取し、球果の状態及び裂開の有無について記録し、球果の重量を測定した。 採取した球果について種子を取り出し、精選し、50 粒重を3 回測定した。精選した種子について、50 粒ずつ1 クローンあたり3 回の発芽試験を行い、蒔き付け後10、12、16、20、23、30 日目の発芽種子数の調査を行った。 これらの記録については林木育種センターへ送付した。 |
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| ヒノキのせん断強度の再検証 | R6~R7 | B | 木材のせん断強度が無欠点小試験体のデータに基づくものである点を改善するため、試験評価法の妥当性の検討、全国各地の材料試験データの解析、国産材の実大試験データに基づく強度特性の取得により、せん断強度を再設定し、木材の利用推進に資する。 | 令和6年度の研究成果により実大材のせん断強度評価に最適と思われる逆対象4点荷重法について、令和6年度の平角材の結果と比較するため、正角材での試験データを収集した。ヒノキのほか、他機関でスギ、カラマツ、トドマツのデータを収集し、データ解析したところ、異なる寸法でも同試験方法でせん断強さが評価可能なことがわかった。しかしながら、新たに、せん断破壊させるスパン条件によって、せん断強さが異なる傾向が確認されたため、最適なスパン条件を検証する必要があった。 | |
| 構造用MDFを使用した壁の強度性能評価 | R7 | B | 一般住宅の壁には、合板などが耐震用面材として使用されている。近年、MDFにおいて高密度圧縮技術などの開発が進み、従来よりも多種類、高強度の製品が生産可能となり、耐震性の高い壁が実現できるようになってきた。このため、本事業では、これらの面材を使用した壁の面内せん断試験や要素試験を通して、高耐力かつ品質の安定した耐震壁を開発、普及させ、建築における木材利用拡大を図ることとする。 | MDFの仕様や、接合具の配置ピッチを変えた多数の耐力壁仕様について、面内せん断試験を行いデータを収集した。試験の結果、面材の密度と接合具のピッチを狭くすることにより、初期の剛性が高くなるが、変形後に脆性的に破壊することがわかった。このことから、初期剛性も高く、変形後も耐力を維持できる仕様を検討し、試験で検証した結果、最適な組合せを整理することができた。また、面材を受ける軸材の組合せによってはさらに高い耐力を発揮する可能性がわかり、さらなる高耐力化が期待できることもわかった。 | |
| 県産ツーバイフォー材を使用したトラスの開発 | R7 | B | 枠組壁工法(以下、2×工法)の一般住宅において、県産材の利用が拡大傾向にあるが、同工法による倉庫等の産業用建築においては、その利用が進んでいない。 このため、産業用建築においてロングスパンを架構する県産材による木造トラスを開発し、県産材の利用拡大を図ることとする。 |
トラスに用いる継手、仕口接合部の強度性能を確認したところ、LVL、ヒノキ、SPF、スギの順に高い結果となった。このことから、県産ヒノキを使用することとし、平行弦トラスを試作し、破壊試験を行ったところ、各接合部の耐力検定による推定耐力よりも高い耐力となった。今回の試験結果により、県産ヒノキ2×材を使用したトラスは実用に必要な十分な耐力を有し、かつ信頼製の高いトラスを製作できることが確認できた。 | |
| 多樹種等のフェンス材の性能試験及び米国への輸出に向けた取組み | R7 | B | 愛媛県産材を米国のフェンス材として輸出し、木材の需要拡大を図るため、米国の展示会において販売促進活動を実施することとしている。本事業では、県産品と従来製品の性能比較ができる資料作成を行うため、促進耐候性試験や強度試験等を行った。 | 促進耐候性試験では、屋外約10年分の光量を人工的に照射し、各樹種の色差や劣化による欠損率を測定した。その結果、スギ・ヒノキは共に従来品のウエスタンレッドシダー(以下、WR)と同等の性能を有していることが確認できた。強度試験では、WRと比較してスギはほぼ同等、ヒノキは約1.5倍の強度を有しており、県産スギ・ヒノキはフェンス材として有効であり、WRと同等もしくはそれ以上の性能を有することが分かった。これら研究成果を資料に取り纏め、米国の展示会で配布した。このことにより、県産材の認知度の向上と県産製品のアピールにつながったものと考えられる。 | |
| 表層圧密技術を用いた県産トラック天板の品質性能試験 | R7 | B | 県産材の用途拡大を図るため、かねてよりナイス(株)とともに、表層圧密技術(商品名:Gywood)の製品開発を行っている。本事業では、県産ヒノキを使った同製品をトラック天板に使用することを想定し、強度や寸法安定性などの性能評価を実施した。圧縮率の異なる製品や多樹種製品との比較を通して、トラック天板として適正な性能を備えた製品の開発を目指す。 | トラック天板は屋外で長期間降雨に晒される可能性があるため、製品の表面を長期間湿らせ、寸法変化等を測定した。その結果、ヒノキは従来品等とほぼ同等の寸法変化を示しており、使用に耐え得る性能を有していることが確認できた。また、曲げ強度や表面硬さ試験も実施したところ、従来品に劣らない性能を有していることが確認でき、今後の実用化に向けた取組みに期待が持てる結果となった。 | |









